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Welcom to another real


アヤワスカ!―地上最強のドラッグを求めて

アヤワスカ!―地上最強のドラッグを求めて


読み終わったと同時に、バックパックに荷物を詰め込んで再び南米を旅したい衝動に駆られる。
久々に別次元の興奮を覚えた。

都会の人間にとってシャーマニズムなんて時代遅れの迷信らしい。「どうして医学やテクノロジーが進んだ日本から、わざわざペルーにシャーマンを探しに来るのだ」と首をひねられた。東京に忍者を探しに来たアメリカ人がいると聞いて笑ったが、他人事じゃない。


例え馬鹿げていたとしても、そこにあるのは紛れも無い"Real"

本書は、偶然にもアヤワスカの不思議な効力にみせられてしまい、それを追い求めてアマゾン奥地へと向かう旅行記だ。著者は23歳で渡米した後、絵画勉強の傍らであらゆる幻覚剤を経験してきた元麻薬中毒者(ジャンキー)である。
アヤワスカとは南米熱帯雨林の蔓植物から作られるドラッグの一種である。それを作る技は、アマゾン川流域に住む先住民たちに代々受け継がれてきた。彼らはアヤワスカを飲むことで、病気を治療したり、未来のできごとを予知するという。一方でドラッグとしての効き目は、LSDの数百倍ともいわれ、最強ランク。旅の目的は、1999年の大晦日の夜、アヤワスカを飲み続けて新年まで踊り明かすという秘祭に参加することだ。
行く先々で、著者はとりつかれたように、アヤワスカによるドラッグ体験を重ねていく。いんちきシャーマンにだまされたり、得体の知れないドラッグに嘔吐したり、殺人蚊におびえたりしながら。そして祭が終わった後で彼を待っていたものは、想像していたような強烈な快感ではなく、自分を取り巻く世界すべてに対する強烈な「感謝の念」だった。それを体験したとき、アヤワスカは著者にとって、もやは単なるドラッグではなくなっていた。貴重なイニシエーションへの「変容」といえるだろう。


共感は出来ないが、筆者のあくなき探究心は賞賛に値すると思う。